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カスタマーレビュー
※ カスタマーレビューは他のお客様により書かれたものです。ご購入の際はお客様ご自身の最終判断でご利用ください。
美しさにカンパイ! |
2008-09-26 |
| 動かすことに頓着しない演出はアニメの可能性を押し広げた。都会の群像と個の内省を拾うように実写的背景にカメラを向けた演出法は、ドラマの間(ま)や音楽・環境音に自然と重きが置かれる。演出を含む映像作り全体で実写風を目指したことは、果たして魔法という空想的産物を描くのに釣り合うだろうか? それは杞憂であった。魔法は内的なものの象徴でもある。魔法遣いの描き方が非常にリアル。リアルは語弊があるとしても魔法の使用が厳かに描かれている。呪文を詠唱する上辺の行為や、成し遂げた結果で魔法を描いていないことが「リアル」という所以です。深い洞察とか他者への思いやり。その瞬間に取り沙汰されるのは魔法遣いの真心であり、方法や結果を超越した愛の閃きがもたらす癒し。魔法の使い方を知らなかった豪太が最後に見せるそれは彼の人間的成長を端的に示している。ソラに代表される個人の背景(人や故郷)と、通り過ぎる都会の喧噪の狭間に、揺らめくアイデンティティを浮かび上がらせながら、日々私たちが感じる寄る辺無さや絆への渇望、ノスタルジーに触れる。都会という交差点で絡み合う群像の距離感が秀逸です。フレーム外にある過去や未来という不在の時空への夢想を浮き彫りにする孤独な現在(いま)が澱んだ風景の中に泡のように浮かぶ。ソラの背負う宿命と故に囚われていく在り方。見えにくかった物語の素性が俄に見え出す10話は分岐点になる。ソラの心を研ぎ澄まさずにはおかない父から受け継いだ才能はソラ自身の十字架となった。父親との邂逅を描く旅路。アンゲロプロスの『霧の中の風景』を私は思い出さずにいられない。ソラを見つめる描き手の慈愛。そして、出会う世界との響きあいの中に、希望の灯、時空の超越・存在の証を疑わないソラの凛とした魂の軌跡は、彼女が私たちにかけたとびきりの魔法に違いない。個人的には2008年度ベスト作品の予感がします。 |
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